『ナイロンタオル健康法!』
(乾布摩擦がめんどうな方向けに、
入浴時の体を洗うタオルを変えてみる)
寒く、冷たい冬の季節になってきました。
寒さや風邪に強い『丈夫な肺』にするための古くからの乾布摩擦は、
とても理にかなっています。が、
流行る健康法でもなく地味で、なんだかやる気になりません(ノ_・。)
ということで色々と考えます。
東洋医学では「体表の冷え」と「体内の冷え」を区別します。
「表寒・ひょうかん」と「裏寒・りかん」と呼びます。
治療法や使う漢方薬が異なるためです。
冷えはまず、体表面を襲います。
また、冬場はしょっちゅう体表に冷えが入ります。
まず、その外の(体表の)冷えを抜いてあげないと、
内側ばかり温めていても冷え症は全く改善しません。
『体表の冷えをさすって抜こう!』です。
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『からだはよ〜く触って調べると感覚異常(どん感になっている)部分がある』
『からだの感覚鈍麻(どんま)の場所を探す』
『からだの忘れてしまっている部分の感覚を取り戻す』
『同じはりやお灸をしても痛みや熱さが異なること』
『ぶつけたり、擦り傷などでも痛みかたが違うこと
またぶつけやすいところ』
鍼灸では、
以上のようなことなどをざっとみただけで類推(望診)したり、
実際に皮膚上を触れたり、さすったり、圧したりして感じたり(触診)、
実際にその部分の痛みの強さを伺ったりして(問診)
様々なからだの状態をみてゆきます。
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こころとからだは密接ですが、
今回は簡単にできる「単なる皮膚の刺激」ということで書いてみました。
心の状態や精神状態との関連はまたいつか書いてみます。
そして、半健康くらいならはりやお灸をしなくとも、
からだのある部分の皮膚刺激をしてあげることで様々な病気や不快な症状を除くことができる
ということで、
ナイロンタオルを使った皮膚の刺激でからだをより健康に!
ということを書いてみたいと思います。
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今まで様々な患者さんをみさせて頂きながら、私よりも長い人生経験の豊富な様々な方々の
独自の健康法や日常の生活でのちょっとした工夫のようなものをたくさんお伺いしてきました。
この手の中では有名な『タワシでからだを洗う』健康法が高齢の方でたまに伺いますが、
(確かにこれを行っている方の健康度は(☆o☆)するほど高いです ですが...)
ここまでしなくともなるべく同様のことを、ということでおススメ法です。
今回もなるべく日常の生活の中でできる、
『気楽にできる入浴』中にできることです。
総じてよく伺う中で感じることは、
入浴でよく温まる方は、シャワーだけの方と比べて同じような治療をしていても、
その場の鍼灸による反応も早く、治癒も格段に早くなるといつも感じます。
寒えや疲労の蓄積が少ないことが背景にあるようです。
またフットバス等で足を温めた後の施術と温めずに行う治療では明らかに効果が異なります。
からだを洗うときにマッサージをしながら洗う場所を感じて行われているような方
(からだの異常のある皮膚の感覚・身体感覚が豊かな方など)は、
さらに健康度も高く、反応も格段に早く感じます。
上手な方はきっとこれだけでかなりの健康度を保っている方も多いです。
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鍼灸の治療法は体表医学といわれ、脈診で五臓六腑の働きをみたり、お腹をみたり、
経絡が通る皮膚をなでたり、擦ったりしてからだの表面から内臓の状態を伺います。
このようなことを毎日していると、肌の状態だけでも様々なことがわかってきます。
カサついている部分、ざらざらしている部分、ぬるっとした油が出ている部分など。
通常の健康な適度な潤いがあり柔らかい健康的な皮膚とは明らかに違う部分が
さっと擦ったときにわかるようになります。
頻繁に自身にも鍼や灸をしながら先人の追試をしていると、はりをして痛みが強そうなところ、
ほとんど知覚が消失しているところ、直接灸をしても健康なところと比べて熱さを感じにくいとこ
ろ、お灸のあとに水ぶくれになりにくいところ、なりやすいところなど様々なことが自身だけでな
く患者さんのからだでも大体わかるようになってきます。
他にも蚊などの虫に刺されて痒みの強く出るところとほとんどかゆみや痛みがないところ。
『これはテーピングなどでかぶれやすいところとかぶれないところと同様です』
これらは皮下に濁った水(湿(水毒))うっ滞があるところとないところなので、
こういったところもなんとなく大体はわかるようになります。
(蚊などの場合は詳しくはよくわからないですが、
うっ滞のあるからだの毒素のような体臭に反応して
蚊がそこに刺のでは?ということもいう方もいます)
私も試しに蚊がわんさかとたかってくる山の中で手を出してみたことが何度もありますが、
悪いものの溜まっている『実』といわれる部分に停まりやすいと感じます(かなり正確に、気のせ
いか?否々)自分の感覚でも鍼で瀉法(抜く)したいと思うところにみごとに刺してくれる感じが
します。こういうところは痒みが強烈に強く、皮下にうっ滞のない健康状態のいい皮膚の部分は痒
みをあまり感じません。
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このような皮膚のある部分を探すのが鍼灸治療というものではとても重要なことになります。
そして、このような皮膚のある部分がどの経絡や経筋といわれる筋肉のスジ、
また臓腑(内臓)に関連しているのか?
ということをみてゆくと、昔の書物に書かれていることがとてもよく観察されて、
シンプルにまとめられた治療法だと感心してしまいます。
また後日書きますが、手術痕や古傷、傷の後シミの残っているところなどが
意外な落とし穴になって治療がなかなか進まなかった失敗例も多々あります。
中国などでは漢方薬を注射をしたりすることも行っているのですが、
その注射する場所(ツボ)を重要視したりします。
薬剤が入ってない鍼でもかなりの変化をからだに与えるものです。
その鍼灸の鍼よりもかなり太い筒状の注射針で薬剤を注入するのですから、
場所によって効果が左右することは、
ふつうに考えればとても重要なことだと思うのですが...
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それはさておき、今回は、
先程の鍼を刺して痛い部分や全く感覚のない部分、ここが刺激する皮膚の部分です。
ナイロンタオル健康法と聞き、多分、
『ナイロンタオルは刺激が多すぎて痛くてできない!』
と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
でも、ナイロンタオル健康法では、痛みが感じずらい感覚が鈍麻しているところを刺激を
お願いしております。
ですから痛くはないと思います^^。
はりや灸をして『痛みや熱さが感じにくくなっているところ』
まずはここがとても重要な皮膚の部分です。
鍼灸的には血行不良の感覚鈍麻した寒えとしての皮膚の部分です。
長年の場合は鍼をさしても痛みを感じない部分(健康的な)ところとは異なり、
感覚自体が麻痺してしまっているところです。
ナイロンタオルを使っても他のところと比べて痛みが感じにくいところ、
感覚がぼんやりしているところ。
そこをしっかりと刺激してあげて、健康な部分は軽く痛くない程度の刺激で擦ってあげる。
慣れない不安な方は通常のタオルで擦り、確かめてから、
感覚が鈍麻しているところのみナイロンタオルで擦ってもいいと思います。
私達の鍼灸等が数箇所のはりでからだの状態を変化させることができるのは、この
刺激する場所を明確にしていることといわれています。
またそういうところに昔から定められているのが体表上のツボです。
・ある程度強く刺激しなくてはいけないところ。
・ごくごく軽い刺激でいいところ。
体表面の明暗(コントラスト)を感じているような感じです。
※刺激するといいからだの部分の目安は、
からだを洗うときに
『いつも刺激していないところ』
『さっと流してしまうような部分』が、
まず刺激するといい部分です。
ふだん脳への入力刺激(インプット)が他と比べ極端に
少なくなくなっている部分といえるかもしれません。
(脳というのは神経のつながりで全身に張り巡らされているので、
働きでみれば、脳というものは頭にあるものだけではなく全身そのものだと思います)
からだへの刺激は脳そのものへの刺激です。
からだを動かすだけでも筋肉の動きで引き伸ばされ皮膚刺激にもなります。
ということで運動は健康に良いのでふだん身体を動かすことが多い方はからだを刺激しています。
そのようなことを内臓との関連でまとめあげたものが古来の東洋医学の経絡というもので、
ある動きと内臓との関連も類推できたりもします。
◆歯茎も感覚麻痺のツボをみつけると歯周病予防になる。
先日、歯科の先生とお話したのですが、歯もからだも
磨くところは黙っていても磨く癖があるので忘れることはないそうです。
それよりも
『普段刺激をしていないところをいかにみつけるか?』
が歯周病予防でも重要とのことでした。
※『感覚がなくなっているところは歯茎もからだも
無意識的に触れることを避けたり嫌ってしまうようです』
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慣れてくると、
入浴時にからだを洗うときにさすることでこの場所はわかるようになってきます。
だれでもわかりやすいところの代表は 『足のかかと』 です。
成人では、かかとは軽石などで強くこすっても痛みはほとんど感じずまた、
感覚もかなり消失してしまっています。
かかと周囲が悪い方は皮膚が硬く厚くなり、浮腫んで一周り二周り通常より浮腫んだ状態
になっています。
他にも膝のお皿の下(犢鼻というツボ付近)、外と内のくるぶし(外踝 内踝)、
ひじの骨の付近(肘頭)。
なども皮膚が角質化してカサカサになって黒ずみ、荒いシワになっていたりします。
足のタコも同様です。
とくにくるぶしやひじ頭などは爪でつねっても全く痛くない方も多いです。
このようなところを繰り返し刺激しているうちに感覚が出てくるのと同時に子供のように柔らか
い皮膚の状態になり、黒ずみなども消え、浮腫みもなくなりかかとがスッキリした状態になります
。
かかとがキレイになってくると以前は厚ぼったい状態だったこともわかるようになってきます。
かかとが原因(腎)の腰痛の方は、このような状態に足が変わるとほとんど腰の痛みやダルさも
、訴えなくなってきます。
からだの関連いえば、かかとは腰周囲(下腹部・骨盤や腎・生殖器)と密接な関係があり、
アキレス腱のついているかかとの左右差と
背骨の両脇の脊柱起立筋の左右差の関係もまた密接です。
背中の筋肉に凝り感がある方でかかとが硬い腰痛症の方には、是非おススメです!
もちろんタオルの両端を持って背中をゴシゴシしたときに、背骨の高さによって痛みが感じにくい
ところは最重要です。
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からだの皮膚感覚(触れられているという感覚)は
神経学的にも原始的な神経といわれています。
外界と自分との境界、そして連絡口・交通路です。
最近では、
からだを擦る刺激 = 母親が子供を擦る刺激
ともいわれておりとても精神的にもとてもリラックス作用があるそうです。
脳の深い部分に無意識的な愛情のような感覚をも働きかけるといわれ、
過去のトラウマ等の心理的なものの治療の可能性も探求されはじめています。
動物やペットなどと触れ合う温かみは何ともいえない心地よい感覚です。
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ナイロンタオル健康法、
慣れないうちは少し強い刺激のように感じるかもしれません。
(長い期間忘れ去ってしまっている部分です)
お若い方は知らない方もいらっしゃるかもしれませんが、
一時期テレビのバラエティ番組にもよく出演され指圧の普及に尽力された、
故浪越徳治郎先生の名言のように...
お風呂で優しくゆったりとした母ごころで
普段忘れてしまっているからだのある部分を見つけてあげて
ぜひ、よ〜っく擦ってあげてみて下さい(^o^)
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以下、薬局・ドラッグストアなどで手に入れることができるナイロンタオルです。
商品名の「男のタオル」というのはたまたま家にあったものなので、
とくに関係はありません^^
大きさが少し大きく、肌触りが強い製品のようです。
今では刺激がマイルドなものも多いので、
少しずつ試してみて使い分けても面白いかもしれません。
そして鍼の治療で皮膚刺激の治療として使われる、
『梅花鍼(七星皮膚針)』といわれるものです。
これも火鍼法(燔鍼はんしん)・焠鍼(さいしん)法ともいわれるもの似たように、
「少しチクチク」と刺激することで体表面の寒えなどを抜いたり、発汗(不感蒸泄)を
促したりするために使われる鍼です。